5月31日(日)に、「竹をつかって日時計をつくろう」を開催しました。

講師は、NPO法人 テクノプロスの方々です。
※テクノプロス・・・トヨタグループの研究者集団である(株)豊田中央研究所のOBを中核とする技術指導チーム

今回は、太陽の動きと時刻の関係を理解して、自然素材の竹を生かした日時計を作ります。
 日時計とは、太陽の位置によって時刻を測定する装置のことです。

まず最初に、「わたしたちのくらしと時計」という講師手作りの紙芝居を観賞しました。
一日の時刻の測定に使われた初めての時計は日時計でした。古代エジプト期に製作されたオベリスク(※)もまた、日時計の役割を果たしていました。
※オベリスク・・・神殿などに立てられた記念碑の一種。現代においては欧米の主要都市の中央広場などにも建設され、 その地域を象徴する記念碑である。

その後に登場した水時計や砂時計、燃焼時計も自然の力を利用しており、いつでも正確な時刻を示すとは言い難いものでした。私たちが当たり前に使っている時計には大変長い歴史があることを実感しましたね。


15日時計① 15日時計②

続いて、日時計の種類や特徴、太陽と地球の位置関係などについて講義を受けました。
最も単純な日時計は、板の上に垂直に棒を1本立てたもの。そのまま板を傾けて棒の先を北極星の方向に向ければ、コマ型の日時計となります。今回のワークショップで作るのはボウル状の文字盤を目盛りとする赤道式日時計ですが、原理は同じです。他にも、三角関数を使用して目盛りを計算する水平式、垂直式の日時計などがあり、単純なようで奥が深いことを知りました。

空での太陽の道筋も、季節によって変化します。地球の自転と公転について学び、その原理を理解していきます。太陽を15センチのボールに例えると、地球は1.5ミリのビーズくらいの大きさしかないことに驚きながら、天体の動きを具体的にイメージすることができました。


15日時計③ 15日時計④

講義の後は、いよいよ日時計作りに入ります。まずは必要な材料が全てそろっているか確認します。
三角や四角の木材に混じって、大きな竹の半輪がひときわ目を引きますね。実際に林から切り出し、自然乾燥させてから幅2.5センチに切って、半分に割ったものです。半輪の下の部分が平面に仕上げてあるので、机に置いてもグラグラせず自立するようになっています。

線引き用のミニT定規は、小さな木材部品を使って自分で作ります。ドライバーでネジを締め、T字型をしっかりと直角にしたら、ネジの反対側のすき間に瞬間接着剤をつけて動かないようにします。


15日時計⑤ 15日時計⑥
15日時計⑦ 15日時計⑧

竹の内面に時刻目盛りを引く作業は、慎重に行います。
基準となる円図に竹を当て、水平線・中心線にそれぞれ竹の端面と中心をしっかりと合わせます。図で示された放射線に沿って、竹の根元に目印となる点を付けていきます。T定規の縦をきちんと竹に当てながら目印の点に合わせて線を引きます。

「あー、ちょっとズレちゃってる!」図に合わせて確認しながら、ズレがある場合は消しゴムで消して書き直します。全ての線が引けたら、見やすい位置に時刻の数字を書き入れます。


15日時計⑨ 15日時計⑩
15日時計⑪ 15日時計⑫

次は、日時計台の組み付け作業です。
三角材にピンを挿入し、竹の底の取り付け穴にドッキングさせて仮組みします。竹と三角材がピッタリと重なるところまで差しこんだら、一度はずします。竹側に両面テープを貼り、再びピンで組み付け、竹と三角材が直角になるようにして固定します。

木台の穴に竹ひごをまっすぐ挿入します。竹ひごが反っていないか、正しい角度になっているかを確認し、それを元に時刻目盛りの取り付け位置を決めていきます。竹ひごの軸が、横から見て時刻目盛りの両端の面と、縦から見て時刻目盛りの中心線と一致するように三角材の位置を調整し、木台に鉛筆で印を付けます。三角材の底面に両面テープを付けて印の位置に貼り付けたら、日時計の完成です。


15日時計⑬ 15日時計⑭
15日時計⑮ 15日時計⑯

天気にも恵まれ、実際に外へ出て日時計の観測をしました。
水平な机の上に日時計を置き、方位磁針で北を見つけます。木台から延びる竹ひごがちょうど真北を向くようにすれば、影の位置は時刻を示してくれるのです。

「いま何時だっけ?わー、ピッタリじゃん!」子ども達は嬉しそうに声を上げます。
「名古屋は日本標準時より約8分早いんです。そして、時季によって変化する均時差(※)も補正すれば、さらに正確な時間を割り出すことができますよ」
※均時差・・・天球上を一定の速度で動くと考えた仮想の太陽と、実際の太陽との歩みの差。地球が楕円軌道を描いて太陽の周りを回っていること、地軸が傾いていることが原因で生じる。


15日時計⑰ 15日時計⑱

会場に戻り、最後に月旬計の組み立てを行いました。三角台を南に向けて正午の時の影を読むと、月と10日単位の旬が分かるという優れものです。どうして分かるのかについても、講義の内容を思い出しながら、改めて考えることができましたね。

日時計も月旬計も、持ち帰った後はぜひ良い置き場所を見つけて、長く使ってくださいね♪


15日時計⑲ 15日時計⑳’