7月19日(日)に、「水溶液から結晶をつくろう!」を開催しました。

講師は、県内の科学館、小学校等でサイエンスショーやものづくり講座を実施、「科学実験キャラバン隊」などでも活躍されている、光ヶ丘女子高等学校 非常勤講師 沓名先生です。

今回は、水溶液から結晶を釣り出す実験と、ガラスの中の結晶が天気によって変化するストームグラス(天気管)作りを行います。

まずはじめに、水溶液とは何か、物質が水に溶けるとはどういうことか、模型を使ってわかりやすく説明を受けました。例えば食塩を水に入れた時、はじめは混ざりきらない食塩が白く見えますが、かき混ぜるとだんだん溶けて見えなくなりますね。食塩は目に見えないくらいに小さく分かれて、水の分子のすき間に入り均一に散らばっている状態となります。これが「溶ける」ということです。
「今日は、白い粉(※ミョウバン)を水に溶かし、溶けて見えなくなった白い粉を再び結晶として釣り出してみましょう!」
 ※ミョウバン・・・食品添加物として、漬け物のナスの色を良くしたりするために使われる。

結晶全景結晶講師
結晶分子結晶見本

 実験の手順や注意事項をしっかり守って、いよいよ実験開始!まず水にミョウバンを入れ、ガスコンロで熱します。70℃を超えないよう温度計を確認しながらかき混ぜ、ミョウバンを溶かし切り、トールビーカーに移し替えます。

ミョウバン入れる結晶ミョウバン溶かす

事前に作っておいたミョウバンの結晶のタネを割り箸に取り付けます。ビーカーの水溶液が55℃以下になったのを確認して、タネをビーカーに吊るします。
「慌てるとタネが溶けてしまい、90分後にできるはずの結晶がダメになってしまうよ!」
子ども達は温度計とにらめっこしながら、慎重に作業を行います。最後にビーカーを保温容器に入れたら完了。急激に冷やすと小さく、形が整わない結晶になるため、90分かけてゆっくり冷めるのを待ちます。出来上がりが待ち遠しいですね!

種結晶種結晶2

保温ケース入れる保温ケースUP

冷めるのを待つ間に、ストームグラス(※)作りに挑戦!
 ※19世紀のヨーロッパで天気を予測するために使われていた。
まず、精製水140㎤を量るため、メスシリンダーやこまごめピペットの使い方を学びます。これらを使い、正確に量を量った精製水をビーカーに入れ、硝酸カリウムと塩化アンモニウムを溶かします<溶液A>。

ピペットビーカーに入れる

次に、事前に作っておいた溶液B<無水エタノールに樟脳(※しょうのう)を溶かした液体>に溶液Aを入れます。すると・・・白く濁ってビックリ!
 ※樟脳・・・クスノキの香り成分の結晶。衣類の虫除けや芳香剤などに使われる。
「樟脳はエタノールに溶けるが、水には溶けない。」「硝酸カリウムと塩化アンモニウムは水に溶けるが、エタノールには溶けない。」ため、結晶ができ濁ってしまうのです。結晶は、溶液の温度などで大きく成長したり、小さく全体に浮遊したりと状態が様々に変化するため、大気の温度や湿度、気圧の影響によっても結晶の状態が変化すると考えられ天候予測に使われたんですね。

変化を観察試験管に入れる

最後に溶液を試験管に入れ、漏れないようにしっかりゴム栓をし、土台の板に固定します。周りに花を飾り付けたら完成です!四季の天候の変化をどこまで予測できるか、楽しみですね!

飾り付けストームグラス

さあ、そろそろ90分たちました。ドキドキしながら保温容器の中を見てみると・・・ミョウバンの結晶は大きいもので1cm!中には結晶が何個も連なっているものもあります。「まるで宝石みたい」「キラキラしてる!」子ども達は皆、大満足です☆
「一度溶かしたミョウバンは、溶液の温度を下げると溶け切れなくなった量が再び結晶として現れるんです(再結晶)。今日の結晶をタネにして、さらに大きな結晶を育ててみるのも面白いですよ!」

実験をとおして化学変化の不思議を実感できた子ども達。是非これからも身近な化学変化や科学に興味、関心を持って下さいね☆

結晶1結晶2