復興への思いは風化させない

 トヨタ産業技術記念館 館長の大洞和彦です。トヨタグループの共同事業としては当館の運営が代表的ですが、他にも多くの取り組みがあります。その一つが、トヨタグループによる被災地復興支援ボランティア活動です。

 2011年3月11日に発生した東日本大震災。私は当時、トヨタボランティアセンターの責任者でした。震災から1ヵ月後の4月中旬、津波で大きな被害を受けた岩手県の沿岸地域を災害救援NPO「愛知ネット」と一緒に訪問し、大船渡市、陸前高田市、住田町の首長の皆さんにボランティア活動をさせていただきたい旨をお願いしました。6月からトヨタグループによる活動を開始し、2019年まで通算65回、参加したグループ各社の従業員は延べ1,100名以上になります(2020年はコロナ禍で休止)。

 瓦礫の撤去、仮設住宅の環境整備、農業や漁業のお手伝い、復活したお祭りへの参加など、様々なお手伝いをさせていただく中で、被災地の皆さんとの心の交流も生まれました。下の画像は地元紙「東海新報」に掲載されたトヨタグループに対するお礼の全面広告です。前代未聞のことで、私たちも驚きましたし、感激しました。

 東日本大震災から間もなく10年。トヨタグループが活動した場所は嵩上げされ、住宅地や商業地として利用が始まりました。献身的に私たちの活動をサポートいただいたNPOの現地スタッフは、大船渡市議会唯一の女性議員になり、復興まちづくりの先頭に立っています。私たちも復興への思いを風化させることなく、日々の業務に取り組んでいきます。

 

2011年12月14日付「東海新報」(本社:岩手県大船渡市)