織機技術の発展

1.織物を織る機械技術の発展

紡機で作られた「糸」を使って、「布」を織る……。この織機コーナーでは、人力織機から動力織機、自動織機、そしてコンピュータ制御が用いられた最新の織機までの織機技術の移り変わりを、目のあたりにすることができます。実際に本物の織機を動かして、布のできあがる工程を段階的に見比べることによって、現在の高度な技術がよくわかり、人間の英知の素晴らしさを肌で感じることができます。


在来織機の改良の歩み

日本の在来織機の改良は、明治初期に西欧から持ち帰った技術を、日本の在来織機である高機(たかばた)に取り付けたことから始まります。色鮮やかな模様を織るジャカード装置や、生産性が向上するフライシャットル(バッタン)を備えたバッタン高機などを展示しています。

※シャットル=杼(ひ):よこ糸を通す織機の用具


国産織機技術の発展~動力化から自働化へ~

社会や国のために、一生を織機の発明につくし、西欧に遅れをとっていた日本の織機を大きく発展させた豊田佐吉が発明した織機の数々を展示しています。23歳で初めて発明した「木製人力織機(もくせいじんりょくしょっき)」から、その当時世界一と評価された「G型自動織機」まで、そのたゆみない研究と創造の精神を感じとることができます。


無停止杼換式豊田自動織機(G型自動織機)

豊田佐吉が1924年に発明、完成したG型自動織機は、世界で初めて実現した無停止自働杼換装置をはじめ24の自働化、保護・安全装置により、高速運転中に少しもスピードを落とすことなく円滑に杼(ひ)を交換してよこ糸を補給することができ、生産性は大幅に向上しました。G型自動織機は総合的性能と経済性で世界一と評価され、各国の繊維産業の発展に大きく寄与。1929年には世界のトップメーカーであるイギリス・プラット社に技術供与(特許権の譲渡)し、日本の技術者に自信を与えました。


当館所蔵のG型自動織機第1号機は、「機械遺産」に認定されています。
「機械遺産」は、歴史に残る機械技術関連遺産を文化的遺産として次世代に伝えることを目的に、社団法人日本機械学会が、日本国内の機械技術面で歴史的意義のあるものを認定しています。

(社)日本機械学会 「機械遺産」ページ
(社)日本機械学会 「認定機械遺産 無停止杼換式豊田自動織機(G型)第1号」ページ


G型自動織機の組立ライン

昭和初期の(株)豊田自動織機製作所の組立工場14工程を7工程に絞って再現。チェーンコンベアを用いて、流れ作業で組み付けていく様子を展示しています。豊田喜一郎はこの組立ラインで月産1,000台の量産を実現し、さらに自動車組立の流れ作業を想定して従業員を訓練しました。ジャストインタイムの思想が息づくトヨタ生産方式の原点がここで生まれ、繊維機械と自動車の関連を物語る展示でもあります。


G型自動織機の集団運転

G型自動織機の登場により、1人の作業者で30~50台を運転することが可能になりました。「新製品の開発は徹底した営業的試験が不可欠」という豊田佐吉の発明の信念のもと、完全な自動織機を誕生させた当時の試験工場の情景を示しています。オペレーターの操作でG型自動織機がいっせいに稼動する様子も見られます。リズム感のある機械音が、赤レンガの建物の中に響きわたり、集団で布を織る光景は、当時の工場さながらで迫力満点です。


さまざまなシャットル織機の技術の変遷

外国の技術に刺激されて、日本の織機が世界をリードするまでになりました。よこ入れにシャットルを使う織機は、汎用性が高く、いろいろな織物に合わせて工夫や改良をしました。その代表的なシャットル織機として「阪本式管替式自動織機(さかもとしきくだがえしきじどうしょっき)」「豊田自動織機G3型」やドイツの「カールツアングス縫取織機(ぬいとりしょっき)」、スイスの「ルーチ両側4丁杼織機(りょうがわよんちょうひしょっき)」などを展示しています。


2.最新の織機

現在の織機~超高速化からインテリジェント化へ~

織機の生産性を高めるためには、よこ糸を速く入れることが必要でしたが、重いシャットルが往復運動する有杼織機では高速化に限界がありました。この限界をこえるために開発されたのが、シャットルを使わないでよこ入れをする無杼織機です。よこ糸をはさんで運ぶ「レピア織機」「グリッパ織機」、空気や水を利用して飛ばす「エアジェット織機」「ウォータージェット織機」があり、実際に動かして目の前で布が織られていく様子をご覧いただくとともに、機構モデルによってそれぞれのしくみと特徴をじっくり見ることができます。