11月16日(日)に、「はかせとあそぼ!金属めっきにちょうせん!」を開催しました。

講師は、環境システム・リサイクル科学を研究されている、名古屋大学エコトピア科学研究所の市野先生です。

「めっき」というと、ペンキのような塗料を表面に塗る「塗装」に近いものかと勘違いされる方も多いですが、実は原理も強度も根本的に違います。
今回のワークショップでは、めっきの仕組みを学ぶ実験を行い、めっき加工を施したオリジナルの製作物を完成させます。

はじめに、講師から「めっき」に関する説明を聞きました。
そもそも「めっき」とは、ものの表面に薄い金属の膜をつくる技術のこと。文房具、アクセサリー、腕時計などにも幅広く生かされ、工業製品になくてはならない重要な技術です。
めっき処理の一般的な方法としては、電気エネルギーを利用する「電気めっき」と、化学反応を利用する「無電解めっき」があり、今日はその両方を体験します。


14めっき①
14めっき②

ゴーグルとゴム手袋をつけたら、まずは「無電解めっき」の実験準備です。
自分の名前や好きな文字のアルファベットビーズを選び、針金に通します。その際、ビーズとビーズがくっつかないように、針金を少しクネクネさせながら間隔をあけます。
ビーズの表面に付着している油脂や指紋などの汚れを、脱脂溶液で取り除きます。成分の吸着を促進するためのコンディショナーに浸し、水洗いしたら準備完了です。


14めっき③
14めっき④
14めっき⑤
14めっき⑥

いよいよ実験開始! 
ビーズを、40度くらいに熱した3つの溶液に順番に浸けていき、めっきをします。溶液は危険なので絶対に触らず、作業は講師の方々が行います。

①キャタライザー(黒い液体)に3分間浸け、その後、取り出し水洗いします。
②アクセラレーター(透明な液体)に3分間浸け、同じく水洗いします。
※①②で、無電解めっき反応を開始させる触媒金属を、ビーズの表面に付着させます。


14めっき⑦
14めっき⑧

③ニッケル溶液(緑色の液体)に15~30分浸けます。
※溶液中の還元剤が、活性化した触媒金属表面で酸化されます。
この時に放出される電子によってニッケルイオンが還元され、ニッケル皮膜がつくられます。 

「化学反応が起きるから、近くで見てみよう!」と講師から声がかかり、みんなで身を乗り出します。
緑色の液体に浸けたビーズのまわりから気泡が出てきて、ビーズの表面もしだいに銀色に・・・。子ども達は溶液の中で起こっている反応に興味津々!金属が成長していく様子を、じっと見守ります。


14めっき⑨
14めっき⑩

完全にめっきができるまで時間があるので、ここで次に行う「電気めっき」の実験準備です。
めっきをするための銅板に、好きな形のシールを選んで貼っていきます。シールを貼った部分だけがめっきされず、自分の好きなレイアウトでめっきをすることができるため、完成後を想像しながら、ていねいに進めます。 
テープに文字や模様を下書きし、その部分をカッターで切り取って銅板に貼りつけるという方法に挑戦する子たちも多く、それぞれオリジナルの“こだわり”が見られました。

 
14めっき⑪
14めっき⑫
14めっき⑬
14めっき⑭

めっきをしたいレイアウトが完成したら 、早速、実験開始です。
「電気めっき」の実験では、陰極(-)として銅板を、陽極(+)としてバネ状のニッケル線を、それぞれニッケル溶液に浸し、両極間に電流を流します。これにより溶液中のニッケルイオンは陰極へと移動し、銅板の表面で電子を交換して還元され、ニッケルの層が形成されます。
シールを貼った部分には電流が流れず、反応が起こらないため、めっきされないのです。

 
14めっき⑮
14めっき⑯

さて、そろそろビーズの「無電解めっき」が完了する時間です。
溶液から取り出すと、ムラなく均一に銀色のめっきが施されており、大成功!中身がプラスチックとは思えない、見事な出来映えです。
めっきされたビーズを1つずつ針金から抜き取ります。めっきしていないビーズと組み合わせて糸に通し、オリジナル携帯ストラップを完成させました♪


14めっき⑰
14めっき⑱
14めっき⑲
14めっき⑳

「電気めっき」をしている銅板も、いよいよ完成です。
溶液から取り出すと、表面がキレイな銀色にめっきされ、銅板はすっかり姿が変わりました。シールをはがすと、その部分はもともとの銅板のまま変わっておらず、自分で決めた通りの文字や模様が、しっかりと浮かび上がっていました。

 


14めっき⑳’
14めっき⑳”