真冬は博物館・美術館の季節

 

トヨタ産業技術記念館 館長の大洞和彦です。

わが国には四季があり、どの季節にも趣きがあります。「旅立ちの春」「読書の秋」など季節を表現する言葉もいろいろありますが、博物館や美術館を見学する際に、最も適切な季節はいつでしょうか。「芸術の秋」を思い起こす方が多いと思いますが、私は冬、特にちょうど今のような真冬だと思うのです。

冬は、愛知県を含む太平洋側の地域では晴れの日が多くなります。冷涼な空気の中に佇む建物の中で、展示物をじっくり鑑賞することが可能です。なぜなら、この時期の博物館・美術館はとても空いているからです(笑)。学校行事での団体見学者も少なくなり、ゆっくり時間をかけて見学することができます。私も先日、愛知県陶磁美術館に伺いましたが、整然と並ぶ世界や日本のやきものの美しさや気高さを、静かに感じ取ることができました。

私事ですが、昨秋から学芸員資格を取得するための勉強を始め、今月は東京都内の大学博物館に実習に伺うことになりました。新型コロナ感染拡大の影響で一部がリモートになりましたが、感染防止策を徹底したうえで学びを止めない大学の姿勢に深く感謝し、多くを学んで来たいと思います。

 

冷涼な空気の中に佇む愛知県陶磁美術館(愛知県瀬戸市、2022年1月撮影)