博物館と学芸員

 

トヨタ産業技術記念館 館長の大洞和彦です。

2月の館長メッセージでも触れましたが、私は昨年秋から、学芸員資格を取得するための勉強を始めました。
玉川大学教育学部の通信教育課程に3年次編入し、学芸員資格取得に必要な単位(同学の場合は12科目25単位)をテキスト学習、レポート作成、科目試験、博物館実習を通して学修していましたが、この9月末に全単位を取得できました。学芸員は国家資格ですが資格試験はなく、これで学芸員資格を取得できたことになります。

博物館における学芸員は、専門的な知識と技術をもって人類の貴重な資料を保護・管理して、未来に伝える仕事です。現在、国内で学芸員養成課程を置く大学は約300校あり、毎年約1万名の学芸員資格者が誕生しています。近年は、社会の多様化や博物館行政の変化により、博物館には研究や教育的な役割だけではなく観光資源としての機能も求められるなど、学芸員の活躍の幅も広がりつつあります。そのためか、私のように社会に出てから資格を取って、学芸員としての活躍を目指す方も増えているようです。

私が2月に受講した博物館実習では、全国から集まった数十人の社会人学生とともに6日間学び、多くの刺激を受けました。私と同世代で北海道から参加されていたSさんは、5月の連休中にご夫妻で当館にお越しになり、旧交を温めることができました。一足先に学芸員資格を取得されたSさんは、道内の自治体の教育委員会に採用され、現在は学芸員として遺跡の発掘調査等に携わっておられます。私も負けないよう、当館が学びの館としてより魅力ある博物館になるように、決意も新たに取り組む所存です。

学芸員実習を受講した玉川大学教育博物館(東京都町田市)