発明を起点とした未来創生

トヨタ産業技術記念館 館長の大洞和彦です。

1935年(昭和10年)4月のことです。名古屋の豊田紡織本社(現在のトヨタ産業技術記念館)に、その5年前に亡くなった豊田佐吉翁の胸像が設置され、除幕式が挙行されました。この年、佐吉翁の遺訓を長男の喜一郎氏らがまとめ、5回目の命日にあたる10月30日に、佐吉翁の胸像の前で創業以来の理念として発表しました。それが「豊田綱領」です。

豊田綱領は制定されて以降、トヨタグループの精神的支柱となり、グループ各社の企業理念、行動規範の基となってきました。昨年(2024年)1月に、トヨタ自動車の豊田章男会長は、現代の豊田綱領ともいえる「トヨタグループビジョン」を、トヨタグループ各社の役員・従業員の前で発表しました。発表会場は、豊田綱領と同じトヨタ産業技術記念館でした。

2025年は、豊田綱領が制定されてからちょうど90年にあたります。豊田綱領とトヨタグループビジョンに共通するのは「発明を起点とした未来創生」ではないでしょうか。このふたつの理念に縁の深い当館は、創業以来トヨタグループが大切にし、これからも受け継ごうとしている道標を、大切に館活動に重ねていく責務があると考えます。今年から当館では創業期のエピソードとともに、思いを託されたグループ各社の未来に向けた取り組みの数々についても、折に触れてご紹介していきたいと思っています。

開館31年目のトヨタ産業技術記念館を、どうぞよろしくお願いいたします。

トヨタグループビジョン発表会(2024年1月)