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2025年7月の館長コラム
戦後80年の七夕に寄せて
トヨタ産業技術記念館 館長の大洞和彦です。
7月と言えば、七夕。一年に一度だけ旧暦の7月7日に会える織姫と彦星の伝説はあまりにも有名ですし、笹飾りに短冊を吊るして願い事をする風習は、中国の「乞巧奠(きこうでん)」と呼ばれる儀式が由来とされています。日本古来の禊ぎ行事である「棚機(たなばた)」が七夕の起源という説もあるようです。
江戸時代には既に日本各地で七夕が行われていたようです。現在もさまざまな行事が盛んで、中でも宮城県の「仙台七夕まつり」は特に有名ですね。一方で、戦後の復興を祈念して始まった七夕もあります。それが神奈川県の「湘南ひらつか七夕まつり」です。
平塚市は戦時中に海軍火薬廠(しょう)があったことから、1945年7月の大空襲で壊滅的打撃を受け、当時の中心市街地の約7割が焼失しました。その後、市民と行政は懸命に復興を進め、5年後の1950年7月に平塚復興まつりを開催。翌年7月には仙台七夕まつりを範として第1回七夕まつりを行い、現在に至ります。
第二次世界大戦の終結から今年でちょうど80年。湘南ひらつか七夕まつりは、今年で73回を数え、日本を代表する七夕まつりとなりました。鎮魂と復興。今年も7月から8月にかけて全国で行われる七夕まつりに、あらためて平和の尊さをかみしめたいと思います。
湘南ひらつか七夕まつり(24年7月、写真提供:平塚市観光協会)