ノーベル賞受賞者の意外な素顔

トヨタ産業技術記念館 館長の大洞和彦です。

ゴールデンウイークが始まりました。この2年間、コロナ禍で外出を控えておられた方々も、そろそろ出かけてみようかと思っておられるように感じます。もちろん当館にお越しいただければ嬉しいのですが、東海地区には多くの魅力的な博物館があります。私が最近訪問した中で特に面白いと感じたのは、名古屋市科学館の「あいち・なごやノーベル賞受賞者記念室」(以下、記念室)です。

この記念室は、名古屋市科学館の最も新しい常設展で、愛知県と名古屋市に所縁のある6組・8名のノーベル賞受賞者を紹介しています。面白いと感じたのは、受賞した研究の内容だけではなく、受賞者の生い立ちや人柄、素顔などに多くのスペースを割いていることです。展示を担当された学芸員の方に伺ったところ、受賞者が記念室の企画に賛同され、幼少の頃や学生時代の写真の提供などに快く協力いただけたことで、研究内容だけではなく人柄等も表現することができたそうです。

天野浩博士(2014年物理学賞)が小学生の頃に野球に夢中になっていた写真、野依良治博士(2001年化学賞)が中高時代に柔道に打ち込んだ写真からは、ノーベル賞受賞者も普通の子どもだったという親しみを感じます。吉野彰博士(2019年化学賞)が大学時代に考古学研究会で活動していた写真には「溝を掘って虱潰しに遺跡を探す発掘手法は、役立つ材料を探し求める研究方法と全く一緒で、研究の原動力の一端となった」との説明があり、若手研究者に勇気を与えるでしょう。ほかにも、研究内容の解説の最後にある受賞者からのメッセージなど見どころ満載です。ご見学をお勧めします。

あいち・なごやノーベル賞受賞者記念室(名古屋市科学館内)