豊田章一郎 当館理事長に感謝をこめて

トヨタ産業技術記念館 館長の大洞和彦です。

本年2月14日に、トヨタ自動車の豊田章一郎名誉会長が逝去されました。享年97歳。トヨタ自動車の創業者であり、父である豊田喜一郎氏が亡くなった1952年にトヨタ自動車工業(当時)に入社し、社長、会長など役員として半世紀以上に渡って、トヨタのグローバル化や人材育成などを推進されました。また、経済団体連合会(経団連)や日本国際博覧協会の会長なども歴任され、より良い社会づくりに力を尽くされました。

当館(1994年6月開館)にとりましても、構想段階から豊田英二トヨタ自動車会長(当時)、豊田芳年豊田自動織機会長(当時)とともにトヨタグループの中心となって事業を推進され、2013年には当館の第2代理事長に就任されました。当館の初代館長である齋藤謹吾氏は、当館の設立準備段階で「若い人々に現在の“モノづくり”の技術を理解していただけるようにして欲しい」「技術が進歩する限り産業技術記念館の展示は完結することがなく、常に“未完”である」と豊田章一郎社長(当時)から助言をいただいたと回想しておられます。

私が館長に就任してからは、コロナ禍もあり、残念ながら豊田章一郎理事長にお目にかかる機会はありませんでした。今月から、トヨタ自動車の豊田章男会長が当館の第3代理事長に就任されます。あらためて章一郎理事長の長年に渡るご指導とご支援に感謝するとともに、「常に未完」の博物館の内容をさらに充実させていくことをお誓いしたいと思います。

【参考資料】齋藤謹吾「産業技術記念館について」産業考古学会『産業考古学』88号、1998年、p.8-14

建設中の館内を視察する豊田章一郎会長(当時)【写真左】

(1994年3月、写真右は齋藤謹吾初代館長)