お知らせ
2026年3月の館長コラム
2026.3.1
震災とデジタルアーカイブ
トヨタ産業技術記念館 館長の大洞和彦です。
2011年の東日本大震災から今月で15年を迎えます。未だ多くの人たちの記憶に強く残る一方で、現在の高校生までの若い世代は、震災時にまだ誕生していないか、殆ど覚えがないでしょう。災害の多い日本では、その記憶と教訓を継承することが極めて重要であり、大震災以降は多くの震災デジタルアーカイブが構築されました。一方で、その継続が困難になっているという指摘もあります。
情報科学技術協会が発行する月刊誌「情報の科学と技術」は、2026年2月号で「震災アーカイブの持続的な継承」を特集しています。同特集で東北大学災害科学国際研究所の柴山明寛准教授は、継承の課題を組織や制度など6つに整理・考察したうえで「担当者の意識の改革で解決する部分が多々ある」ことを指摘されています。
2023年4月に施行された改正博物館法には、博物館資料のデジタルアーカイブ化と公開が明記されました。震災の記憶・記録も博物館資料も、デジタル化すれば次の世代に自然と受け継がれるわけではなく、「時間の経過とともに風化・劣化する大切な資産」を後世に残す強い意志が必要でしょう。当館もその気概を決して忘れないようにしたいと思います。
参考資料:柴山明寛「震災アーカイブの組織・制度面からの課題の考察」『情報の科学と技術』76巻2号(2026)p.60-65

トヨタグループの東日本大震災復興支援ボランティア活動
(2011年6月、岩手県陸前高田市)
