お知らせ
2026年10月の館長コラム
2026.10.1
車の進化を支える隠れた主役たち
トヨタ産業技術記念館 館長の大洞和彦です。
創業者・豊田喜一郎氏は「準備は出來たトヨタは邁進します」と題した創業時の文章の中で、「自動車の製作に當(当)つて何が一番大切であるかと申しますに、云(言)ふまでも無く材料問題であります。材料問題を解決せずして自動車の製造に取掛かる事は土臺(土台)を作らずして家を建てる樣なものです」と記しています(豊田自動織機製作所「トヨタニュース」第9号、1936年11月)。
これは創業時から材料技術を大切にしてクルマづくりを進めてきたことを示しています。喜一郎氏は1933年9月に自動車製作部門を社内に設置した後、新設した試作工場内に材料試験・研究室を構え、直ちに自動車用の特殊鋼を自社で製鋼することを決めました。現在、1台の車には鉄だけではなくアルミニウム、樹脂、ゴム、繊維など様々な素材が使用されています。材料技術の重要性は、電動化や資源循環などが求められる今日、ますます高まっていると言えます。
当館では、自動車館で材料技術をテーマとした企画展を開催中です。クルマの安全性や信頼性に加えて、快適性や環境性能の向上を支えてきた「材料」。普段は目にすることの少ない材料技術の世界を通して、クルマの進化が多くの技術者の挑戦によって支えられてきたことに思いを馳せていただくとともに、モノづくりの奥深さを感じていただければ幸いです。

自動車館企画展「材料技術の世界へようこそ。」
